メンズエステのセラピストとして働いていると、気になる疑問の一つに「納税」があります。今回はその納税についてわかりやすく解説します。
どんな仕事であっても、所得を得れば納税する義務があります。もし納税をしなければ、本来支払うべき税金に加えて、申告をしなかったことによる罰金が課される可能性があります。さらに、金額が大きければ逮捕のリスクもあります。
「知らなかった」では済まされない税金の問題。納税義務について、しっかり理解しておくことが大切です。
メンズエステセラピストは納税してるの?
納税していないセラピストが多い現実
きちんと納税しているメンズエステのセラピストも一部にいますが、残念ながら多くのセラピストは納税をしていないケースが多いようです。「みんな納税していないから大丈夫」と安心している人もいるかもしれませんが、その考え方は非常に危険です。
税務署は、いずれ無申告者を調査する可能性が高く、もし発覚すれば、過去の未納税分を一度に請求されるだけでなく、罰金や延滞金も課される可能性があります。取り返しがつかない状況になる前に、納税のリスクをしっかりと理解し、正しい手続きを行うことが重要です。
「現金ならバレない」はもう古い
多くのセラピストは現金で売り上げをもらっていればバレないと思っている方も多いようですが、最近の税務署ではKSKシステム(財産と納税の情報をデジタルで一元管理するシステム)が優秀になってきており、たとえ現金での取引であったとしても税務署に目をつけられる可能性は十分にあります。
なぜ確定申告をしないの?
税金を払いたくないという理由で確定申告をしないセラピストもいますが、それ以外にも、職場や家庭にバレたくないという理由で申告をしないケースも少なくありません。
確定申告をすると、年末調整時に副業をしていることが職場にバレてしまい、副業を禁止している職場では働けなくなるリスクがあります。また、メンズエステで働いていることを家庭に明かしていないセラピストにとっては、何の仕事で収入を得ているのかを誤魔化す必要が生じるため、申告が難しいと感じる人も多いでしょう。しかし、申告しないことでさらなるリスクや問題が発生する可能性があるため、納税については慎重に考える必要があります。
納税しなくてもバレないの?
税務署にはバレてるけど見逃されているだけの可能性も
メンズエステのセラピストとして収入を得ながら税金を払っていない場合、税務調査が来ていないからといって、税務署にバレていないわけではありません。実際には、税務署に把握されているものの、現時点では見逃されている可能性もあります。
脱税が発覚した際、必ずしも全員にすぐ税務調査が入るわけではありません。一回の個人や法人の税務調査には、多くの人員と時間が必要です。そのため、税務署は優先順位をつけて調査を行っており、現時点で見逃している場合でも、収入がさらに増えた段階でまとめて追徴課税を取ろうとしている可能性があります。今は問題が起きていなくても、後に大きなペナルティを受けるリスクがあるため、注意が必要です。
もし税務調査が入ったらどうなるかのリスクを知っておくべき
3年以上の期間、無申告でメンズエステのセラピストとして収入を得ている場合、もし税務調査が入った際には、莫大な追徴課税を支払わなければならない可能性が高いことを覚悟しておく必要があります。こうした事態を避けるためにも、今のうちに正式な申告を行うことを強くお勧めします。
たった一度の無申告が原因で、人生を大きく狂わせてしまうことがあり、「若気の至り」では済まされない深刻な結果を招くこともあります。将来的なリスクを避けるためにも、早めに適切な対応を心がけましょう。
もし税務調査が入ったらどうなるの?
ここまで、確定申告をしていないセラピストに対して申告をすることの重要性をお伝えしてきましたが、もし長期間セラピストを続けた結果、税務調査が入ってしまった場合、どのようなことが起こるのでしょうか?以下のようなリスクが考えられます。
5年間分の本来払わなければいけない税金+αを納めなければいけない
税務署は、最大で5年間(悪質な場合は7〜10年)まで遡って、未申告であった税金を徴収することができます。つまり、5年分の未納税金とそれに伴う罰金や延滞金が一度に請求されることになります。
多くの場合、個人ではそこまでの貯蓄ができていないことが多く、いざ支払いを求められた時に対応できない可能性が高いです。このような状況に陥ると、財産の差し押さえや金融機関への影響など、さらに深刻な問題に発展する恐れがあります。
5年間 月収80万円 を得ていた無申告セラピストに税務調査が入った場合の内訳
5年間 月収80万円 を得ていた無申告セラピストに税務調査が入った場合の内訳 | |
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科目 | 支払額 |
本来払うべき所得税 | 9,746,000円 |
本来払うべき住民税 | 3,120,000円 |
無申告加算税 | 2,573,200円 |
重加算税(悪質な場合) | 4,503,100円 |
延滞税 | 4,000,000円 |
国民健康保険料 (社会保険未加入の場合) | 3,120,000円 |
国民年金保険料 (社会保険未加入の場合) | 1,000,000円 |
国民健康保険料の延滞金 | 1,000,000円 |
本来払うべき事業税 | 955,000円 |
事業税の延滞金 | 300,000円 |
本来払うべき消費税 | 4,300,000円 |
消費税の延滞税・加算税 | 2,300,000円 |
合計 | 36,917,300円 |
※重加算税は納税義務を知っていながら故意に申告をしていなかった場合など悪質性がある場合。
※その他「復興特別所得税」が掛かる場合があります。
※分割払いにする場合はさらに延滞料が加算されます。
※悪質な場合は7年間遡ることもあります。
追徴課税を支払うことができなければどうなる?
もし上記のケースの場合、脱税であることが税務署に見つかってしまうと莫大な追徴課税を課されることとなってしまいますが、それほどの貯蓄ができておらず支払うことができなければどうなるのでしょうか?
- 分割払い
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一度に納税ができない場合は分割払いの提案をされることとなります(通常1年以内)。ただし分割払いとすることで延滞料がさらに加算されることになります。
- 徴収猶予の申請
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災害や病気など一度に支払えない事情があることが認められれば支払いの猶予を認めてもらうことができます。猶予が認められた場合は延滞税は減免される可能性があります。
- 資産の差し押さえ
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支払いがどうしても困難な場合は、税務署が強制的に財産を差し押さえることで未納税の回収をします。また不動産・車などの資産を持っている場合は売却して納税資金に充てられることになります。
なお、どうしても支払いができないからといって自己破産を選んだ場合でも、税金の納税義務から逃れることはできません。自己破産しても税金は免責されず、納税義務は継続して課され、支払いを強制されることになります。税金は特別な扱いを受けるため、他の借金とは異なり、自己破産で免除されないのが大きな特徴です。
社会的信用の失墜
また、一度「脱税をした」というレッテルを税務署から貼られてしまうと、たとえすべての支払いを終えたとしても、その経歴が残り、クレジットカードやローンの申請において不利になることが多いです。金融機関は信用履歴を重視するため、脱税歴があると信頼を損ね、将来的な取引や融資が難しくなる可能性があります。このように、脱税は長期的に生活や信用に大きな影響を与えるリスクがあるため、注意が必要です。
どういう人が税務調査で狙われる?
大きな買い物をする
きちんと納税をしていない状態で、住宅や車などの高額な買い物をすると、税務署に目をつけられる可能性が高くなります。収入を申告していないのに大きな支出があると、税務署は「本来収入がないはずの人がなぜ大きな買い物ができるのか」という矛盾に気づき、調査対象となることがあります。このように、不正な収入や未申告の所得があると疑われ、結果的に税務調査に発展するリスクが高まります。
周りの人から反感を買う
税務署が脱税者を見つける方法の一つに、タレコミが挙げられます。第三者が税務署のホームページなどを通じて匿名で脱税者を密告することで、税務調査が行われることがあります。このような密告は、税務署にとって有力な情報源となります。
密告の理由としては、嫉妬や逆恨みなどの感情が絡むことが多く、特に周囲の人が成功や収入を妬んで密告するケースが少なくありません。脱税は表立った行為ではないため、タレコミは税務署が違反者を特定する重要な手段となることがあります。
摘発されたメンズエステ店に所属している
最近、違法なメンズエステ店が摘発されるケースが増えており、特に風俗営業を無許可で行った疑いで逮捕されるのは、主に経営者やスタッフです。しかし、その影響で、その店舗に所属していたセラピストにも税務調査が入ることがあります。
逮捕されたオーナーやスタッフが、取り調べの際にセラピストに支払った給料の詳細を提出することで、セラピストの脱税が明らかになる場合があります。オーナーの逮捕がきっかけで、セラピストも追徴課税や罰金を課される可能性があるため、注意が必要です。
知り合いのメンズエステに税務署入って6億だったかな?そこに在籍してた女の子も持っていかれましたよ!脱税しても良いこと無いです!って私は納税してます。税金が勿体ないなら経費を頑張れば良い😏
— 三上あん (@c8LVfcuy0M35962) July 27, 2024
まとめ:納税はきっちりした方がいい
税金について無知で、脱税が見つかっても軽く考えているセラピストが多い現状ですが、もし上記のような事態に陥ってしまうと、一生後悔することにもなりかねません。周囲が「大丈夫だから、自分も大丈夫」と思い込むのは非常に危険です。脱税は大きなリスクを伴うため、正しい方法でしっかりと納税することが非常に重要です。
もし自分で正確に判断できない場合は、税理士に相談することを強くお勧めします。プロの助言を得ることで、将来のリスクを回避し、安心して仕事を続けることができます。
納税をするメリット
納税をすることで以下のようなメリットを得ることができます。
- 気兼ねなく浪費や投資にお金を回せる
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適切に納税をしていると、脱税者にはできないお金の使い方を自信を持って行うことができるようになります。例えば、住宅ローンや車の購入、クレジットカードの利用、投資などの大きな支出も堂々と行え、将来の資産形成やライフプランを自由に進めることが可能です。適切に税金を納めることで、信用を守り、安心して生活を送ることができます。
- 金融機関からの優遇
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高額納税者は、安定した高収入を得ている証拠と見なされるため、銀行や信用金庫などの金融機関からのローンや融資を受けやすくなります。納税記録がしっかりしていることは、個人の信用力を高める要素となり、住宅ローンや事業融資など、大きな金額の資金調達が必要な場面でも有利に働きます。適切な納税は、将来の資産形成やライフプランを確実に進めるための基盤となります。
- 将来の年金や医療費負担に影響
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高額納税者は、社会保険料も多く支払っているため、将来の年金受給額が多くなる可能性があります。特に、厚生年金や国民年金は支払った保険料に応じて年金額が決まるため、収入が高いほど、将来的に受け取る年金も増えます。また、医療費の自己負担割合に関しても、高額所得者には一定の優遇措置や限度額が設けられることがあり、保険制度の恩恵を受けやすくなる可能性があります。納税をしっかり行うことで、将来的な社会保障面でも優位に立てることが多いと言えます。
収入の全てが課税対象になる訳ではない
もちろん、脱税は違法であり許される行為ではありませんが、節税をすることは合法で、全く問題ありません。メンズエステのセラピストとして得た報酬から、業務に関連する費用を「経費」として差し引くことで、節税を図ることが可能です。以下のようなものが、メンズエステというサービス業における経費として認められる可能性があります。
- 衣装代
- 美容代(ヘアメイク・スキンケア・脱毛など)
- 交通費
- 仕事用のスマートフォン代
- 講習費用
※上記の内容であっても全額を経費にできるかどうかは税理士に相談してください。
これらの費用を経費として計上することで、課税対象となる「収入」を抑えることができ、その結果、納める税金を抑えることが可能になります。経費として認められるものは、仕事に必要な支出とされるため、収入から差し引くことで「所得」が低くなり、所得税や住民税の負担を軽減できます。